SSブログ

オペラ座の怪人 [私の本棚]

中学の時だったかな・・・。
『オペラ座の怪人』のサントラを初めて聞いたのは。
日本語版じゃなくて、オリジナル・ロンドン・キャストの方だ。
借り物だったから、ダビングして何度も聞いて、言葉自体はよくわからなくても、耳で覚えた。
当時は声変わりをしていなかったから、高い声がまだ出ていた。
クリスティーヌのパートも歌えた・・・。
サラ・ブライトマンの伸びのある声に激しく魅了された。
そして、怪人の底知れぬ強い響きが心に染み入る。
華やかな舞台の一つ一つが浮かび上がるような臨場感。
あまりに感動して、歌詞を自分で訳してみたりもしていた。
その頃のノートなどが残っていないから、どういう訳をしていたのか定かではないが、辞書を引き引き書いた気がする。
教科書の勉強よりも面白かった。
受験には全く役に立たず、学校の成績には影響しないというどうしようもない代物であったが・・・。
私の場合、意訳が多いので、英語の先生にこんなことまで原文は書いてないよね?と教科書の訳を提出した時にメモ書きが付いてきたりしていた。
私は勉強が好きな人間じゃないし、資格取得とかにも興味が無いので、必要に応じて調べたりするだけだ。外見で、すごい勉強が好きな人に思われる事もあるが。
話が脱線した。

怪人のマスク、結構かっこいいというか、シンプルで、素敵なんだが、デスマスクみたいで怖いとも思う。あんなのかぶって夜中に家族が歩いていたら、自分の家でも絶叫するかも。
でも、物語全体に感じるのは怪人の孤独と狂気の行き着く深い愛情だった。
怪人は愛情に恵まれて育ったとは思えないのだが、怪人の愛情表現はうっとりするほど豊かだ。
独特のロマンチシズムを感じるが、それだけに利己的で冷酷、子供のように激しく残酷。
幼児期の感受性の歪みをそのまま持ち続け、大人になってもその歪みを正す術を知らない。
そんな面もある。
日常生活の中で、怪人が苦しんだのは何よりも自分自身という存在だったのではなかろうか。
自分を激しく厭い、嫌悪する。
そんな中、恋する存在が現れたことで、心に暖かな春が来る思いを見出したのだろう。
自分以外のことを考える時間。
それはきっと今までの自分から解放される瞬間だったに違いない。
日がな一日、彼女の事を想い、彼女のことばかり考えるあまり日常生活さえ、侵して行く。
エスカレートした想いが、物語を作っていくのだ。
救いを求めた思いでさえ、心を縛る呪縛でしかなかったのだろうか。
どこで、何がいけなかったのか。心のベクトルをどうしたら、幸せに向けられたのだろうか。
怪人の最期にそう思うことがあった。

オペラ座の怪人

オペラ座の怪人

  • 作者: 三輪 秀彦, ガストン・ルルー
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1987/01
  • メディア: 文庫

nice!(5)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

nice! 5

コメント 4

aoyamasijinn

☆ナイスありがとうございます。
by aoyamasijinn (2006-05-27 17:30) 

最近(と言っても2年くらい前?)やってた映画もキレイでした。スワロフスキーのシャンデリヤが壊れるー!!
まだ舞台で観ていないのですが、一度は観てみたいと思っています。
原作も奥が深く、切ない作品ですよね。
P.S.いつもnice!ありがとうございますm(_._)mよろしくお願いします。
by (2006-05-28 23:35) 

みらい

私もこの作品と出合ったのは、aoyamasijinnさんと同じ年頃でしたわ
オペラ座の怪人は大好きなお話です。
ファントムに恋をしましたぁ(*^^*)
古い映画も、劇団四季の舞台も見ましたわ。
そういえば、コミックもありましたね...
オペラ座の怪人のサイドストーリー的な
小説「ファントム」にも涙しましたのを思い出しました。
ありがとうございます♪
by みらい (2006-05-29 01:52) 

aoyamasijinn

☆お返事
☆灰色猫のミミさま
映画は見たことが無いのですが、シャンデリアのシーンは予告で見たような記憶がありますね。

☆みらいさま
やはりファントム素敵ですよね。あれを実際にやられる立場だと嫌だけれど・・・・・。
by aoyamasijinn (2006-05-29 12:00) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。